『More Light』 Primal Scream [音楽]
混迷する世界に対峙する姿を模索するかのようなアルバム。
漫然と世界を覆う暗雲に対する警鐘を鳴らす狂気と五月晴れの多摩川沿いのような穏やかな陽気。
前者は悲観であり、後者は楽観。
前者は"2013"であり、後者は"It's Alright,It's OK"。
そして、この二曲は『More Light』の両極でありながら表裏一体である。
ボーカルであるボビー・ギレスピーの最近のインタビューによると、ボビーはイギリスのみならず世界中が右傾化しているような現状を嘆き、そのような状況に反応を示さないアートに対して疑問を感じているそうだ。
『More Light』を聴いていると、ボビー自身がロック・ミュージックの担い手の一人として、どういった姿勢で世界と対峙すべきか常に試行錯誤している姿を見ているようだし、同時に他のロック・ミュージシャンに対し、「みんな、どうしちゃったんだよ?」と訴えかけているようにも聴こえてくる。
"2013"にはそういった体制やロック・ミュージック・シーンへの反抗が明示されていて分かりやすい。
一方、"It's Alright,It's OK"には「日常はちょっとした良いこと、嫌なこと、いろいろだけど、あまり構えすぎずにしっかりやってこうよ」ってメッセージが込められていて、ありがちと言えばありがちなメッセージが、この流れで聴くことで、「こんな日常だって戦いなんだよ」ってちょっと違って聴こえてくる。
"2013" Primal Scream
"It's Alright,It's OK" Primal Scream
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