Temples(5/13 梅田クラブクアトロ) [音楽]

「私、脱いでもすごいんです」ってCMが昔あったけども、Templesのライブを観てふと思い出してしまった。華奢な優男は意外にも細マッチョだったのですよ。

というのも、CDで聴くTemplesの音は月面重力のゆるふわサイケポップって感じだったけど、ライブの音は鍛えまくったインナーマッスルを軸に、サイケだけでなく、ガレージやちょっぴり轟音なテイストetcも内包した多面的な肉付けをしていて、意外にも荒々しくすら感じた。

おまけに、あのルックスにあのスタイルに赤と緑が印象的な照明、全てが絵になる。もじゃもじゃ頭は伊達じゃございませんよ。まさに、極彩色のオーラがそこに。こういうの目の当たりにすると、音楽におけるビジュアル的要素は舞台装置として侮れないことを痛感する。やはり世界観の構築には大きく貢献するだろう。(もちろん音楽ありきの話で、ビジュアル重視になると本末転倒だけどね。音楽目線で言うと。)

ちなみに、この日のセットリストはこんな感じ。

 1. Coluors To Life
 2. Prism
 3. Sun Structures
 4. A Question Isn't Answered
 5. Ankh
 6. Move With The Season
 7. Keep In The Dark
 8. Sand Dance
 9. Mesmerise
 10. Shelter Song


正直なところ、立ち上がりはあまり良くなくて、1曲目の"Colours To Life"は何だかボーカルのボリュームがやたら大きくて音のバランスが悪かったりで「あれっ?」って感じだった。続く2曲目の"Prisms"以降はそれほど気にならなくなり、"A Question Isn't Answered"あたりでようやく本領を発揮したというか、本性を現した。何ともこの曲のアウトロのジャムセッションが圧巻で、サイケだけじゃない様々なジャンルを内包する奥深さというか今後のさらなる飛躍の可能性を確信するに至る。でもって、セットリストの半分ぐらいはそんなやりたい放題なセッションで魅了。

で、ラストには待ちに待ったアンセム、"Shelter Song"。「キター!」とテンションが上がったところで、何と近くにいた女性が卒倒。PAブースの目の前に立っていた僕はスタッフを呼んだりで、曲の前半はほぼ聴いておらず、何だか消化不良のうちに曲が終わってしまった印象しか残っておりません…。




 

70分ぐらいだっただろうか、かなり短めに思えるが、ライブは終了。Twitterでも「良かったけど、時間が短すぎる」との意見が散見された。確かに、日本でリリースされているアルバムとEPを合わせて15曲のオリジナルがあるので、もう2~3曲は演ってくれても良さそうな気もするけど、 おそらく"聴かせ方"が同じパターンになる曲をあと数曲やったところで、ライブの全体像がぼやけるだけだし、10曲ぐらいが潮時として良い判断だったのではないかと個人的には思う。

ついでに、もう一つ個人的に思うところは、曲順は見直す余地があったのではないかと。初っ端の"Coluors To Life"が何だかよれよれだったので、アイドリングに時間がかかるぐらいなら、もう少し絞まりのある曲から入った方が。曲順に関して言うと、"Shelter Song"みたいなヒットソングを持ってる新人バンドって、その曲の使いどころが難しいんだろうなとは思うけど、やはりラストに持ってくるのが定石なのかな。"Shelter Song"を待ってるオーディエンスを前に、いかに"Shelter Song"抜きでオーディエンスのテンションを上げていけるかは腕の見せ所。KASABIANの初来日でも同じこと考えたなぁ。

とまぁ、素人が偉そうに難癖つけちゃいましたけども、総括してめちゃくちゃ良かった。2014年仕様にバージョンアップされたグラムロック。さながら21世紀のT-REX。世界各地でのフェスやツアーを経て、HCWでのライブの時よりもずいぶん逞しくなっていたんではなかろうかと想像する。このタイミングでクアトロ規模のハコでTemplesを観れたのは本当に幸運だと思う。バンドの(特に新人の)真価はライブを観て初めて分かると実感。今後のTemplesがますます楽しみになる。そんな可能性を感じるライブでした。


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The Bohicasやっばい!! [音楽]

おひさっ!テヘペロッ!!

Hostess Club Weekenderに出演ってことで、気になっていたThe Bohicas。大阪人なら「ボケカス」とついついつぶやきたくなる変な名前だけど、YouTubeで"Swarm"と"Crush Me"をチェックしたら、これがドツボに。さっそく『EP』を購入。

扇動的なギターとドラム、ダーティーなグル-ヴはベースの仕業、テンションを絶妙にコントロールするボーカル。 聴いた瞬間にハートを鷲掴みにされたような気分。こんなニューカマーは久々。瞬発力だけでいうとTemplesを上回るかも。

ちなみに、Hostess Club Weekenderの出演日は今日だったようで、TwitterのTLで見る限り、もの凄く良かった様子。Templesといい、最近のUKの新人はえらいことになっている。


The Bohicas - Swarm/Crush Me 



"Swarm"序盤でのケリー・ジョーンズ(Stereophonics)がモリッシーやイアン・ブラウン風に歌ってみたかのような独特のボーカルが面白い。引き出し(抽斗?)が多いんだろうな、このバンド。


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PRIMAL SCREAM Japan Tour 2013 (11/7 Zepp Namba) [音楽]

お久しブリーフ。花毛・ダ・ラケでございます。ブログの更新は何と4ヶ月ブリリアント・グリーン。

冗談はさておき、11月7日、Primal Screamの大阪公演に行ってきたので、いろいろ語らせて頂きたく存じます。

開場の30分程前にZepp Nambaに到着。Zepp Nambaでのライブに行くのは初。Zepp Nambaでのライブのジャンプが原因で近くのビルが揺れるというニュースが記憶に新しい。残業中に建物が揺れたんじゃあ、気の毒だ…。それに、僕もいい歳。そろそろ落ち着いてライブを鑑賞できるようになりたいこともあり、極力、ジッとしていることにしよう。と、この時点では思っていたのだが…。

zepp.jpg

開場まで暇を持て余している時はだいたい人間観察をするのだが、今回のツアーで販売されていると思しきパーカーを着ている女の子を発見。「まさか東京も行ったの??」と思いつつ、気になるのでたまに見ていたら、いつの間にやらパーカーを脱いでTシャツ姿に。(傍から見たら、さぞかし気持ちの悪いオッサンだったことでしょう。)でもって、このTシャツが『More Light』のジャケットがデザインされたTシャツ。おまけに、でっかいバッグを持ってうろうろしている。やはり、東京から来たようだ。お金と時間があっても僕にはとちょっと真似できない。この女の子はそれほどまでにPrimal Screamが好きだということで、ちょっと尊敬。ついでに言うと、ちょっとかわいかったです。(ますます気持ちの悪いオッサンですね…。)

そうこうしてる間に開場。整理番号が比較的前の方だったので、ちょっと右寄りではあるが、距離的には理想的なポジションを確保。あまりに近いと全体が見渡せないので、フロアの前方1/4あたりの距離が好みなのです。さて、ここから開演までが手持無沙汰。せわしなく、Twitterを見ては、無意味なつぶやきを連発。だって、落ち着かないんだもの…。

開演時間である19時を過ぎたあたりから、SEがフェイドアウトすると会場がざわつくが、元々その曲がフェイドアウトする曲だっただけだったり…。そう言えば、SEでエアロスミスの"Sweet Emotion"が流れていたのは意外な感じだった。Primal Scream側じゃなくて、会場側の選曲だったのかも。

そうんな感じで、開演時間を過ぎること十数分。ようやく会場が暗転。Primal Screamの面々が登場し、『More Light』のオープニングナンバーでもある"2013"のイントロが鳴り響く。鼓膜にまとわりつくようなねっとりとしたサックス。僕はやっぱりこの曲の中二病的インモラルな空気が大好きだと改めて実感。

続いても『More Light』からのナンバーで"Hit Viod"。この曲の間奏では、ボビー・ギレスピーが『More Light』のジャケットでお馴染みの誰が呼んだか通称"激おこポーズ"を披露。後にTwitterで知ったことだが、この"激おこポーズ"、実はけっこう貴重なものだったらしく、前日の東京公演(2日目)ではやっていなかったそうな。初日はどうだったんでしょうね?それにしても、この"激おこポーズ"しかり、ボビーはどんなポーズやダンスをしたって様になる。時にはコミカルでチャーミングでありながら、常にクールで色気がある。ボビーが直線的な体を折り曲げて踊る様を見ていて、浅野いにおの『おやすみプンプン』や『おざなり君』を連想した。ボビーが踊れば、きっと鶴瓶ダンスだってカッコ良く見えるだろう。

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"Hit Void"を終えると、一旦、『More Light』から離れて定番のナンバーを数曲。ちなみに、大阪公演でのセットリストの写真をTwitterで拝見したので、それを元にプレイリストを作成し、ライブを反芻しながら聴いているここ数日。何て便利な世の中でしょう。本編は"Rocks"までで、"Loaded"からがアンコール。"Loaded"の次あたりにもう1曲あったはずで、おそらくは"I'm Losing More Than I'll Ever Have"かと。聞き覚えのない曲だったけど、東京のセットリストには入ってるし、『Shoot Speed(More Dirty Hits)』に収録されていたので聴いてみたら、確かにこんな曲だったような…。『Xtrmntr』以降にPrimal Screamを好きになった僕は勉強不足で知らなかったけど、何でもこの"I'm Losing More Than I'll Ever Have"をリミックスしたのが"Loaded"なんだとか。確かに、曲のエンディングが"Loaded"。話が逸れたけど、書き出すのが面倒なので、セットリストはプレイリストのスクリーンショットで失礼します…。『Xtrmntr』以前の曲はベスト盤の『Dirty Hits』からピックアップしたので、こうやって見ると流れが分かりやすいですな。たまたまだけど。

話を戻して、再び『More Light』の流れに入って"Relativity"。この曲は変調が多く、エンディングは比較的まったりした曲調。なのに、そのまったりした演奏がどうも…。僕の位置取りのせいかもしれないけども、まずギターの音が大きすぎるし、全体的にも何だかまとまりがなかった。ちょっとスロー気味な曲は全般的に演奏がいまいちだったけど、"Relativity"は特に顕著だった。でも、それもPrimal Screamの持ち味かと。"Goodbye Johnny"なんて、新ベースのねーちゃんが何だかはにかんだ様子でコーラスしてる始末。

その後、"It's Alright, It's OK"で本編が終盤が始まり、このライブのハイライトに差し掛かる。"Country Girl"→"Rocks"の2曲が鉄板の盛り上がりを見せたと評する人が多いようだけど、僕は"It's Alright, It's OK"からハイライトの流れが始まっていると思っている。"It's Alright, It's OK"自体はそれほど盛り上がった訳ではないし、コール&レスポンスのレスポンスが不満だったようで、むしろボビーは寂しそうな表情を見せていた。(実はこの日、しきりに手拍子やコーラスを求めていたボビーだが、オーディエンスのレスポンスに不満そうな表情を度々見せていた。)それでも、この曲がハイライトの始まりだと思うのは、"It's Alright, It's OK"→"Swastika Eyes"のギャップこそがPrimal Screamの音楽的幅を最も見せつけた瞬間だったからだ。その落差による衝撃をオーディエンスに叩きつけた"Swastika Eyes"は、こちらがバランスを取り戻すことを許さず、マシンガンの一斉掃射のような電子音をひたすらに打ち込んでくる。そんな中、ボビーの決してうまいとは言えない歌声がやけにすんなりと耳に届く。弾丸が飛び交う中を悠然とこちらに向かって歩いてくるように。僕は理性を失ったような、トリップしたかのような感覚に陥った。この感覚はサマソニ03でのRadiohead以来。『Hail To The Thief』の楽曲を中心に構成されていたRadioheadのライブではライブ全体がこの感覚をもたらすことに貢献していた憶えがあるが、このライブでは"It's Alright, It's OK"の伏線と"Swastika Eyes"のみでぶちかました。気が付けば、間奏で最高潮に達し、夢中で頭を振っていた。「このまま事切れてしまうのではないだろうか。でも、この瞬間でなら、満足だ」とやけに冷静に考えていた。

"Swastika Eyes"が終わった時点で僕はクタクタになっていたが、"Country Girl"→"Rocks"とたたみかける。"Swastika Eyes"で空っぽになっていた頭にこれは効く。"Swastika Eyes"がもたらす危なっかしい感覚を思うと、実に単純明快で健全なノリだ。頭が空っぽなまま、ただただ飛び跳ねていた。純粋に楽しい。そうやって"Rocks"を終えた時、耳をつんざくような機械的な残響の中で見せたボビーのとても満足そうな笑顔が素敵だった。"It's Alright It's OK"で見せた寂しげな表情とはあまりに対照的で、「とても正直な人なんだろうな」と素顔を垣間見たような気がする。

疲労感とさっきまでの興奮状態とが混じり合って半ば放心状態になりながらも、僕は"It's Alright,It's OK"からの流れを反芻しつつ、手拍子を打ち、アンコールを待っていた。Primal Screamの面々が再び登場し、"Loaded"→"I'm Losing More Than I'll Ever Have"(多分)→"Come Together"。"Loaded"と"Come Together"はほぼインストの楽曲で、本編の終盤で精神的にデトックスされた直後にはたまらなく心地良い選曲。"Come Together"でひたすら繰り返される"Come Together As One"というフレーズをボビーとオーディエンスが歌う。明示的なメッセージで作られた暗示的な一体感。そして、ラストは"Movin' On Up"。最後に繰り返される"My Light Shines On"というフレーズが『More Light』と重なる。

"Movin' On Up"を終えて、オーディエンスに様々なポーズを向けるボビーが観客の1人から一輪のバラを受け取った。ボビーはそのバラを高く掲げ鮮明なライトで彩られたステージを歩き回る。やはり無機質な残響が鳴っていたような気がする。そのバラを媒体にして、再びボビーとオーディエンスが繋がったような気がした。が、次の瞬間、ボビーはそのバラをオーディエンスに向けて放り、ステージを去って行った…。

少し寂しい幕切れとなったが、最後にバラを放ったのは、天然だったんじゃなかろうか?と、ボビーのキャラクターを邪推してみたりする。疲労感にまみれながら、家路についたが、フェスならともかく、単独公演でこんなに疲れたのは初めて。まぁ、半分は運動不足と歳のせいだろうけど…w

そう言えば、『Beautiful Future』からは1曲もなかったのが少し残念…。実は『Beautiful Future』の来日ツアーの際、直前で仕事の予定が変更になり、行けなくなったという経緯があり、個人的には"Can't Go Back"あたりを聴きたかった。

さて、来週は同じくZepp NambaでAtoms For Peace。トム・ヨークとフリーを同じバンドで見れるなんて、改めて考えるとすごいな。楽しみです。


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"Do I Wanna Know?" Arctic Monkeys [音楽]

今日はフレッシュな気分で頑張りたいなと、僕的にフレッシュなアルバムであるArctic Monkeysの『Whatever Peaple Say I Am,That's What I'm Not』を久々に聴いた。
特に、電光石火でArctic Monkeysの名を世界に知らしめた"I Bet You Look Good On The Dancefloor"は臭くない汗が飛び散る様を見ているような若さを感じる。

そんなことを思いながら仕事に励んでいる合間にふとTwitterを見たら、タイムリーなことにArctic Monkeysの新曲が公開されたとのつぶやきが。
タイトルは"Do I Wanna Know?"。
さっきまで聴いていた『Whatever Peaple Say I Am,That's What I'm Not』では手数と勢いでめいっぱいに若さを表現していたけれど、この"Do I Wanna Know?"は手数と勢いを削るような真逆に思えるアプローチ。

だからって、「大人になった」という表現もしっくりこない。
ここにきてようやく気が付いたのは、Arctic Monkeysは最初から大人な連中だったということ。
「大人ってなんだ?」って話にもなるが、『Whatever Peaple Say I Am,That's What I'm Not』では若さがほとばしっているものの、その反面、ずいぶんと冷静に若さを客観視した作品だ。
20歳前のバンドなんて自覚的に勢いをつけるのではなくて、普通は勢いしか表現できないからそうなってしまう。

そう言えば、10代でデビューしたArctic Mokeysは27~28歳と年齢的にはまだまだ若いが、そろそろ30代が見えてきた年頃。
今度は若い視点で成長というものを自問自答しているんではないだろうか?
洋楽好きのくせに英語のリスニングは全然ダメなので、リリックまでは分からないけれど、"Do I Wanna Know?"というタイトルと曲調はそんな想像をさせる。

また、このPVは音の拡がりとともに拡がる世界観を見事に視覚化していて秀逸。
Arctic Monkeysのイニシャル「AM」もさり気なく挿入されてたりする。

"Do I Wanna Know?" Arctic Monkeys

ついでに

"I Bet You Look Good On The Dancefloor" Arctic Monkeys


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The D.O.T. JAPAN TOUR 2013 大阪公演レポート [音楽]

The D.O.T.の曲の中でもっとも好きな"Whatever It Takes"で幕を開けたThe D.O.T.のJapan Tour 2013。

最初に驚いたのは、ロブ・ハーヴェイの声がずいぶんと潤っていたこと。
以前のロブ・ハーヴェイの声は、もっと乾いていた気がする。
そして、以前The Musicで観た時の彼は調子の悪かったベースのスチュワートに対し、中指を立てたり、マイクのコードを使って首つりのポーズを向けるなど、かなり厳しいジェスチャーを示すという神経質な一面を見せていたが、今回のライブ中、機材の不調が原因と思われるトラブルで演奏し直すというも場面あったが、終始穏やかな様子だった。

その後、どちらかと言えば淡々とライブが進行される。
マイク・スキナーが操作する打ち込みが主体のトラックにたまに演奏されるロブ・ハーヴェイのギターリフが映える。
数曲が演奏され、気がついたのが、The D.O.T.の曲はどれもどこか切なさを帯びていること。

どうして今まで気がつかなかったのかが不思議だ。
そんなことを考えながら二人を見ていると、その距離感が気になった。
ステージに向かって左手にロブ・ハーヴェイのギターが2本とマイク、右手にマイク・スキナーの機材とマイクがセットされていて、サポートミュージシャンはおらず、ステージ上に立つのはロブとマイクの2人だけ。
この2人の間には少しスペースが空くのだが、ロブとマイクは必要以上にこの距離を縮めることはなかった。
そう言えば、CDのジャケットなどでも2人は一定の距離を保っているイメージが強い。
ひょっとしたら、この2人はパーソナルスペースがとんでもなく広くて、この距離感がちょうど良いのではないか。
ロブのこの穏やかな様子から彼がマイクのことをいかに信頼しているかが窺えるが、いかに信頼関係が強くとも、2人は音でしか重なることはない。

加えて、ロブとマイクは表面的にはかなり対照的な2人である。
バンドで活躍したロブとクラブ・ミュージックで活躍したマイク。
高音が魅力のロブと地のトーンを活かしたラップで魅せるマイク。
この日のステージも2人の対照性を意識したかのようなセットで、服装も対照的であった。
だけど、そんな2人がとても似た者同士に見えた。
おそらく、人一倍広いパーソナルスペースを持つ2人は「孤独」というキーワードで共有するものが多いのではないだろうか?
それ故に、いかに信頼できる人間が側にいようとも、人が潜在的に抱える「孤独」を2人の距離感は如実に現している。
The D.O.T.の音楽が切なさを帯びているのは当然とも言える。

The D.O.T.とは2人で表現する孤独。

だからこそ、強く切なく胸に響く。
そう強く確信した。

最後の一曲"Blood, Sweat And Tears"は特に感動的だった。
最後の最後で2人が揃って少し笑った。
孤独が溶ける一瞬を見たようで、泣きそうになった。

 

"Whatever It Takes" The D.O.T.

 

"Blood, Sweat And Tears" The D.O.T.

ダイアリー

ダイアリー

  • アーティスト: The D.O.T.
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/04/24
  • メディア: CD


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