『聞く力』 阿川佐和子 [読書]

去年から土曜日の朝に『サワコの朝』という対談番組をやっている阿川さん。土曜日の朝早くに目が覚めるとついつい見てしまう(と言ってる端から始まった)のですが、何ともまぁソフトな人当たりのようで、「うまい具合に切り込んでいくなぁ」と感心します。スパっと切るという感じではなくて、すらぁっと切るような柔らかさ。対談相手もリラックスして話しやすそうに見えます。また、阿川佐和子と言えば、『TVタックル』のアシスタントとしても知られていますが、ヒートアップし過ぎた論争を、ピシっとシャットダウンしたり、自然に話の流れを変えたりとなかなか重要な役どころ。また、僕は知らなかったのですが、雑誌で対談企画をやってらっしゃり、900回を超えるインタビュー経験があるそうです。この『聞く力』では、インタビューの観点から、いかに対談相手からおもしろい話、重要な話を聞き出すかというコツについて書かれています。

『聞く力』に書かれている内容は、インタビューという仕事の経験から得られた聞き上手になるコツではありますが、仕事などでヒアリングをする際に必要なテクニックが満載で、僕もそのあたりを期待して読みました。中には一般的に知られているようなコツも書かれていますが、阿川佐和子さんがインタビュー、私生活を通して経験したことに基づいて書かれているので、分かりやすく、説得力があります。

個人的なことを言うと、IT業界に転職して3ヶ月、新入社員として教育される側として思うところは、実演・実体験が欠如し、テクニックだけ先行しているような指導は意味がないと痛感しています。特にIT業界は若い業界なので、そういったテクニック先行の頭でっかちなところがあるようで…。「○○の法則」みたいな、たいそうな名前をつけたテクニックをいけしゃあしゃあと解説されても、「○○の法則」という名前が気になって、中身が入ってきません。

名前なんか付けなくても、「こういう時はこうする」、「こういう時はこう考える」という風に、「やって見せて、やらせてみる」のが良いと思うんですが。前述のような頭でっかちな解説だと、いかにも受け売りな感じがして、「今の話のどこにあんたの"すごさ"があるんだ?」、「それならあんたに指導されなくても、本でも読んで勉強しますけど?」となってしまいます。実際、こうして本読んで勉強してますし(笑)社会人ともなるとお互いがいい年齢なので、教育する側、される側の信頼関係が特に大事です。「やって見せられて」、「あぁ、この人すごいな見習おう」となるのではないのでしょうか。おまけに、そんな人に限って、たいしたテクニックでもないのに自慢げに語ります。そんな人なので、たいがいがそもそも僕が悩んでいるところとは見当違いな指導をします。教育側の実体もなければ、被教育側の実体も見ていない。信頼関係が欠如した教育はむしろ害だなと思う今日この頃です。

すいません…。ついつい愚痴になってしまいましたが(笑)、ここで言いたかったのは、『聞く力』のメリットとして、阿川佐和子が書いているので、素直に中身が入ってくるという側面があるということ。もちろん、阿川佐和子を嫌いな方には逆効果でしょうが…。やはり、少しでも自分が「すごいな」と思っている人が実体験に基づいたことを書いていると、説得力が違います。それ以前に、「この人すごいな」と素直に思わせるには人柄もあるんでしょうけどね。ビジネスにおけるカリスマ性っていうのは、そういうところなのかなと思います。

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

  • 作者: 阿川 佐和子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 新書

 

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