『城の崎にて・小僧の神様』 志賀直哉 [読書]

あまり古い小説は読まない。でも、それは何を読めばいいのか分からないからであって、興味がない訳ではない。そんな読者に向けてかどうかは知らないが、新装版で攻勢をしかける出版社。いい感じのカバーにつられ、「興味もあるし、ちょうどいいか」と軽いのりで買ってしまった。こないだ読んだ『トム・ソーヤーの冒険』といい、うまく出版社の思惑にまんまとはまっている気がする。

で、まぁ読んだ訳ですが、現代国語のテストに出てきそうな小説。当然ながら、多少言葉使いが古いため、読みづらい部分もあるけども、そもそもの文章が読みやすいため、さして苦にもならずに読めた。この読みやすさは、自身の体験をモチーフ、あるいはそのまま題材にした内容に加え、あとがきによると、志賀直哉は“眼の作家”と言われているだけあり、叙景的な表現が多いことに起因するのだろう。

読みながら、何度も「何がおもしろいのだろう」と不思議に思った。おもしろくないという意味ではなく、おもしろい理由がよく分からない…。一通り、読み終えてから、ざっと読み返してみて思ったことは、基本的に志賀直哉の小説では、叙情的な心理描写はほぼない。が、叙景的な文章に差し込まれる登場人物の言葉には、人生の機微を感じる。露骨にそこを描かれるよりも、さりげなくそれを感じるあたりにくすぐったさがあって、そこがおもしろいのだろう。

 

城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)

城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)

  • 作者: 志賀 直哉
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫

 

 

 

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